髪を伸ばしたかった
いつからだろう?小学校入学式にはもうすでにショートカットにさせられていた。幼稚園入園式のときの写真は肩くらいの長さで可愛かったのに。仕上げは襟足にバリカンを使われるほどの短さで、いつも男の子と間違えられていた。ずっと髪を伸ばしたかった。
髪を伸ばしたいと言っても「ショートの方がいいよ」と聞き入れてもらえず、中学2年生までショートカットだった。中二の夏やっと肩くらいの長さにできたが、ヘアドライヤーは軽いアトピーだった私の頭皮には悪影響なんだと言われ、インターネットもまだの時代、本当にそうなのか調べることもできずに使うことができなかった。
母は着飾ることに無頓着なひとで、私が母の前で化粧をしていると「うわっそれ詐欺じゃん」などとうるさい。いつだったかドライヤーをプレゼントしたが、散々言い聞かせてやっと一度使っただけ。ハンドクリームもアドバイスしたその時にしか塗らず、おしゃれなかわいい服を買っても着ない、高いアクセサリーやバッグを買っても使わない。努力もしないのにイヤミや文句を口にすることが見ていて痛かった。